こまつしまリビングラボ2019、始動!|後編|

 

2019キックオフ|作る編

 

先生方のレクチャーの後は少し休憩をはさみ、進行を事務局にバトンタッチしてワークショップに移ります。

今回のワークショップはいろいろと思案した結果、2段階に分けて開催することにしました。

1日目後半では「小松島の可能性・資源をシェアする」ことを目的に小松島の魅力を掘り起こし、それらの資源を掛け合わせるとどんなことができるのかをみんなで思い描く時間。2日目はそのアイデアをアイデアで終わらせないための、事業化に向けたブラッシュアップの時間です。

 

1日目後半WS:まちの資源を見つけよう

 

まちの魅力をマッピング、素敵なひとや活動をシェア!

まず、参加してくださった全ての方に①好きな景色がある場所、②このまちの中心だと感じる場所、③自宅以外で心地よく居られる場所(サード・プレイス)の3つの場所をピックアップしてもらい、それらを見える化するため、4畳半ほどの白地図(事務局の超力作です!)に小さな旗とシールを使ってマッピングしていきます。

次に、参加者の中で小松島在住の方にご協力いただいて、立てた旗や貼ったシールの場所をツアーガイドになりきって巡りながらのその場所の魅力を他の参加者の方にプレゼンしてもらいます。

地元の人しか知らない穴場、魅力的な地場産品やどこにもない美しい景色など、小松島にある「場所・空間の可能性」を生き生きとシェアすることができました。

 

 

さらに、参加者全員に書いてもらった「活動シート」を使って小松島で誰がどんな活動をしているのかをシェアします。

「活動シート」には自分の職業の他に地域で担っている役割やNPOなどの非営利活動など様々な活動のほか、自分の知っている人で魅力的な活動をしている人たちについても記載してもらいました。どんなに魅力的な場所や空間も、それを使いこなせるひとが居てこそその力を十分に発揮できるというもの。このまちにはどんな人的資源があるのか知ることで、自分たちでまちを生き生きと使う活動がデザインできていくのではないでしょうか。

参加者全員がシートを持って会場内を歩き、出会った人とシートの内容についてとにかくシェア!前半、じっとしてレクチャーを受けていたこともあって会話に花が咲き、至る所で自己紹介や笑い声が聞こえる賑やかな時間でした。

 

 

最後に、今日出てきたまちや人の資源と、昨年度のKLLで上がってきた「10年後の”こうだったらいい”小松島」の要素を掛け合わせて、どんなプロジェクトを作ることができるかというアイデアをそれぞれにまとめます。

時間が少しタイトな中での作業でしたが、この日のワークショップでは14個のアイデアが生まれました!

①こども園たちあげ/②徳島杉、ライトレールを中学生が学ぶ/③学生が小松島市内で楽しく過ごす/④校門をなくしてみよう!/⑤育児インターンシップ?ワークライフバランスを考える早期教育/⑥JR南小松島駅を中心としたレンタサイクル・シェアサイクル/⑦みんなが自転車で行動するまちづくり/⑧市民・子供が自転車で移動買い物/⑨飲み友達ライドシェア/⑩安心安全の米づくり/神田瀬川カヌー(ツアーリング)リバーリング/横須の海をキラキラ光る砂浜海岸にしたい/住民がもっと参加しやすいまちづくり会議/インターネットを利用して支え合う人の輪つくり(順不同)

参加者の皆さん、ご協力ありがとうございました。

 

私たちはどんな資源を持っているか?

この日実施したのは、小松島の未来を見据えながら、私たちが今使える”資源道具”は何なのか自分や周囲の現状に立ち返って改めてまちを見つめ直すようなワークショップです。

年度のワークショップで参加者の方に書いてもらった”小松島の理想の未来”、具体的には、交通網や建物などのハード的理想の他、働き方や食生活などのライフスタイルの理想など様々な未来が描かれた結果を手がかりに、人や使える場所、場所への想いなど具体的な小松島の”資源道具”と突き合わせることで、不可能に思えたことが実現可能に思えたり、自分たちで「もっとより良い未来が作れるのでは?」と考え直す機会にもなりました。

 

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2日目WS:アイデアをブラッシュアップ!

 

2日目は徳島大学のフューチャーセンターA.BAに会場を移してスタート。

あいにくの荒天でしたが、帰路に着く前に安岡先生や岩淵先生もワークショップに参加してくださいました。

前日のWSで生まれた14のアイデアの種。

この種の生みの親である発案者の皆さんを中心に、種を芽に育てるためにアイデアをブラッシュアップしていくのがこの日の目的です。KLLの誕生時から折々でサポートしてもらっている富士通エフサスの岸本さんにファシリテーションをお願いしました。

 

 

「今日は『アイディエーション』の日」

岸本さんからは、プロジェクトを進める上で必要な一巡と、この日の取り組みの目的について説明がありました。

 

 

 

昨年のKLLで多くの時間を費やしたのは「ビジョンメイキング」だと言います。「ビジョンメイキング」は、小松島の理想的な未来について思い描き、あるべき姿を作ることです。

この段階でできたビジョンは次に「アイディエーション」という段階を経てきちんとした計画になり、ようやく「ビジネスクリエイション」=社会実装に至ります。「アイディエーション」の段階では、社会実装に向かう前にビジョンを磨いて形を整え、プロジェクトとして成立するところまで仕上げていく作業を繰り返しますが、この日はそのアイディエーションに集中的に取り組むことになりました。

昨日出たアイディアを磨くということですが、一体どんな風に磨いていくのでしょう?

 

アイディエーション10本勝負!

アイディエーションを進めるにあたって、まずは磨くアイデアの選定から始めました。

大まかに4つのチームに分かれ、それぞれのチームで10個のアイデアを選びます(気になるアイデアから順に)。

10個が選定できたら、ここからいよいよアイディエーションのスタート!

 

①まずは3分間、選んだアイデアについてとにかく褒めて褒めて褒めまくります。もうこれ以上出ないというところまで褒める。褒め言葉は付箋1枚につき1項目なので、思い浮かぶだけ何枚でも書きます。

②最初に褒めちぎったのと同じアイデアを、今度は完膚なきまでに非難します。先ほどと同様の3分間、延々と非難。褒めまくった後に非難しまくるので最初は頭がなかなか切り替わりませんが、ノってくる(?)と次から次へと”ツッコミポイント”が思いついてくるので、その振れ幅の大きさに自分が恐ろしくなってきます。しかし、非難の手は決して止めてはなりません。

③非難した付箋を見ながら、非難された点をどう改良すればよりよくなるか、改善点を3分間書き続けます。単純に褒めたり非難するのに比べるととても大変な作業です。一方で、ここで改善案を見つけてブラッシュアップしておくことで実装した時のトラブルを防ぐことにつながる、とても大切な段階でもあります。

 

この3つの流れをアイデア全てに行います。ひとつのアイデアにつき約10分かかりますから、10個のアイデアをやりきるには約100分。

3分ごとに頭を切り替えて、褒めたり突っ込んだり、頭の中は本当に大忙しです。きしもんはよく「脳に汗をかく」という表現を使いますが、アイディエーションの最中は今まさに脳に汗をかいてるな!と感じられる時間でした。

同時に、褒める・非難する・改良するの繰り返しの中で少しずつアイデアの種が成長していくのを感じることもできます。アイデアの種のままでは荒削りで社会実装に耐えられそうになくても、いろいろな人の手で磨くことで少しずつアイデアの芽に近づいていきます。

 

 

 

 

アイデアの種を芽に

ここまでぐっと力を入れて進めてきたので休憩をとりつつ、各アイデアに参加者全員が投票していくことになりました。

各チームが書いた①~③までの付箋をアイデアごとに分けて張り出し、いいなと思うプロジェクトにシールを貼って投票していきます。投票はひとり6票までで、各アイデアに投票できる上限は決まっていません。「これこそは!」と思うアイデアに6票入れるのもOKです。

さらに、自分が投票したアイデアの中からもっと考えを深めたいと思うものをひとつだけ選びます。この段階で複数人が同じアイデアを選んでチームになることもあれば、ひとりでアイデアを深めていく場合も出てきます。先ほどのアイディエーションは個人で黙々と考えて書くことを繰り返しましたが、今度はチームでアイデアをさらに練り直していきます。先ほどみんなが出した①~③までの付箋は、ここで様々な視点として役立ちます。自分にはなかった発想の褒め言葉もあれば唸るような非難もありますが、そのどれもが貴重なヒント。話し合いが進む中で、もうほとんど明日にでも始められそうな話にまとまっていくチームもあれば、もっと先の未来までのビジョンが描かれるチームもあり、チームごとに様々な展開がありました。

最後は話し合った内容を全体でシェアしてこの日のWSが終了。

 

 

まとめとして、岸本さんからはうまくいくプロジェクトの共通点としていくつかのポイントを教えていただきました。

1.チームでゴールを合意形成する

 メンバー間でゴールをしっかり決めておき、方向性がぶれないようにします。

2.会議の時間は短く

 いつまでも話し合うのではなく時間を決めてパッと決め、パッと取り組むスピード感を大切にします。

 3.自発的に取り組みたくなるような解決策を作る

 自然と続けられるような解決策を作ります。

 4.市民や行政が主役になる

 立ち上げは大学等であっても、地元の市民や行政が主役になってプロジェクトをリードしていくのがベストです。

 

KLL2019がスタート!

たくさんインプットし、資源を洗い出し、脳に汗をかいた2日間。

いよいよここから2019年のこまつしまリビングラボがスタートです!今年はどのアイデアの種がプロジェクトに成長し、社会を変える仕組みになっていくのでしょうか。このブログでも、イベントだけでなく各プロジェクトの取り組みについても適宜ご報告していきたいと思います。

KLLと小松島の未来をお楽しみに!